2025.07.06
【&Tradition】3daysofdesign 2025 スペシャルレポート Part2
デンマーク・コペンハーゲンにて6/18(水)から6/20(金)にかけて行われたデザインフェスティバル「3daysofdesign」に行ってきました。
数ある展示の中から、開催地デンマークを拠点とするブランドを中心に、注目の展示を数回に分けてレポート形式でお届けします。
第2回は、北欧デザインの伝統と現代的感性を融合させたデンマーク発のインテリアブランド「&Tradition」をご紹介します。

&Tradition
&Tradition(アンド・トラディション)は、クラシックな北欧デザインの名作と、現代の気鋭デザイナーによる革新的な作品を融合させるデンマーク発のインテリアブランドです。伝統的な職人技や素材へのこだわりを大切にしながらも、常に時代性を意識した新しい美意識を提案し、空間に深みと個性をもたらすプロダクトを展開しています。
今回の3daysofdesignでは、&Traditionのショールームにて展示が行われていました。他のブランドと一線を画していたのは、ショールーム内に多数の部屋が設けられ、実際の生活シーンを想像させるような展示構成だった点です。複雑な建物構造も相まって、自ら次の空間を探しながら進むことで、まるで物語の中に入り込むような没入感を得られました。

▲印象的だったのが《Flowerpot Chandelier》。Flowerpotは、Part1でも紹介したVerner Pantonが、反戦を御旗にしたフラワーパワー運動を背景に、1968年にデザインされました。上部からの光がシェードに反射し、模様のような表情を作り出しており、単灯吊りでは生まれない独特の美しさがありました。
▲ Flowerpotシリーズは豊富なカラーバリエーションも魅力。ビビッドな色味はもちろん、グレージュなどのニュアンスカラーが充実している点が、個人的に最も惹かれるポイントです。

▲ こちらは建築家ヨルゲン・カストホルム(1931–2007)とプレベン・ユール・ファブリキウス(1931–1984)によって1963年にデザインされた《P376》。複数のシェードを重ねることで光を柔らかく拡散させる構造は定番ですが、シェードが中央に向かって穏やかにカーブするそのグラデーションは、直線的でありながら繊細な造形美を感じさせます。アルミ仕上げの本体に反射する暖かい光も印象的でした。
▲ 海外でトレンドとなっている「ジャパンディ」の影響を感じた空間も印象的でした。吊るされていたのは《Formakami JH5》。ボリューム感のある提灯のようなペンダントライトが、今人気のスタイルです。壁にほんのりと広がる黄みと、アクセントとなる青が、単なる和風ではない洗練されたバランスを生み出していました。
▲ 照明以外で特に印象に残ったのは、レースカーテン越しに差し込む柔らかな光。訪れたのは白夜に近い時期でしたが、冬には日照時間が極端に短くなる北欧では、貴重な自然光を少しでも取り込もうとする文化があります。レースカーテンだけを使ったこのスタイルは、柔らかく穏やかな光に満ちた空間をつくり出しており、時間が止まったかのような感覚を覚えました。
まとめ
&Traditionの展示は、単なる製品紹介にとどまらず、「暮らしの中にある美しさとは何か」を問いかけてくるような体験型の空間でした。北欧の伝統と現代のセンスを丁寧に融合させながら、光や素材の質感を通して、静けさや心地よさを表現する姿勢に、改めて北欧デザインの奥深さを感じました。
次回は番外編、Elightingショールームでも展示しているブランドをダイジェストでお届けいたします。
名古屋ショールーム
仙台ショールーム