2025.08.03
【A-N-D】3daysofdesign 2025 スペシャルレポート Part5

デンマーク・コペンハーゲンにて6/18(水)から6/20(金)にかけて行われたデザインフェスティバル「3daysofdesign」に行ってきました。
数ある展示の中から、開催地デンマークを拠点とするブランドを中心に、注目の展示を数回に分けてレポート形式でお届けします。
第5回は、カナダ・バンクーバーを拠点に活動する照明ブランド「A-N-D」をご紹介します。
A-N-D
A-N-Dは、自社一貫でオリジナルの意匠照明を手がけるデザインスタジオ兼メーカーです。革新的な製造技術と最新のテクノロジーを融合し、時代を超えて愛されるようなプロダクトを生み出しています。日常の中の意外性や光が空間に与える力に着想を得て、詩的で美しい照明を追求しています。
▲私たちが訪れたのは、3daysofdesignの開催前日、6/17(火)に行われたイギリス発の建築・デザイン系ウェブマガジン「Dezeen」とA-N-Dの協働によるオープニングパーティ。特設されたカフェ&バースペースには、「La Marzocco」の最高級エスプレッソマシンやA-N-Dの照明、さらに「OS & OOS」など他のデザインスタジオによる作品も配置され、洗練された空間を演出していました。提供されたワインを片手に、参加者たちは思い思いにくつろぎながら、この特別なひとときを楽しんでいました。
▲A-N-Dは今年の新作として3つのシリーズを発表しています。一つ目が、リズム、テンポ、反復をテーマにデザインされたシリーズ《Pace》。曲線的なガラスシェードが光を透過する際に生まれるグラデーションの美しさを大切にし、それらを積み重ねることで全体のフォルムを構成しています。柔らかな光を生み出すだけでなく、シェードの数によって光量やボリューム感を調整できるのも特徴です。
▲こちらは2つ目の新作《Contour》。ペンダント、シーリング/ウォール、テーブル、フロアなど用途の異なる製品を、同じ比率とフォルムで統一したシリーズです。滑らかな曲線とシームレスな接合部により、どのバリエーションでも一貫した存在感を放ちます。光を限定的に拡散させながら、空間に落ち着きと柔らかさを与える設計です。
▲そして三つ目が《Tier》。アルミニウム製の直線的なフォルムが特徴のペンダント。上部のリフレクターと、その下に配置したLED光源で構成され、サイズや段数を変えることで光の量や拡散範囲を調整可能です。特に下方向をしっかり照らす設計のため、ダイニングテーブルやカウンター上などに最適。リフレクターの彫刻的なカッティングが光を美しく反射させ、点灯時・消灯時ともに空間のアクセントになります。
▲また、定番コレクションの一つ《Pebble》ペンダントがクラスター状に連なる空間も壮観でした。自然の小石を思わせる有機的で非対称なフォルムは、単体でも美しく、複数を組み合わせることでさらに空間にリズムと奥行きを与えます。非対称なフォルムながら、どの角度から見ても均一に光を届けられるよう綿密に設計されている点も特徴です。
▲A-N-Dの魅力は、一つの基本ユニットをデザインし、それを組み合わせたり変形させたりしながら、多様な用途や空間に対応するバリエーションを展開しているところにもあります。たとえば《Column》シリーズは、古代ギリシャのドリス式円柱を思わせる力強くシンプルな形状を基本とし、それが竹の節のように連なって縦横に伸び、ペンダント、シーリング、テーブルランプ、フロアランプなどに応用されています。先に紹介した新作《Pace》などにもこの特徴が見られます。
まとめ
A-N-Dは、光を単なる照明としてだけでなく、空間を形づくる要素として捉えています。その詩的でミニマルなデザインは、まるで建築や彫刻を思わせる存在感を放ちながらも、空間に調和し、居心地の良さを生み出していました。
次回はシリーズ最終回、デンマークを代表する老舗照明ブランド「Louis Poulsen」の展示内容をご紹介します。